扉を開けて


「おはようございます! 誉君はいますか!?」

いつも通りの朝と言ってしまえるほど、もはや当たり前となっている委員長の大声

「今日は終業式だよ! せめて今日くらい出てきてほしいな!」

木芽が来てからは忙しくて忘れていたが、そういえば終業式だった
今日くらいはと委員長は言うが、むしろ終業式のためだけにわざわざ学校に行くこともないじゃないか
窓辺に座り、委員長の声に無音で答えていた僕の耳にそれではない音が飛び込んできた

「おはようございます。はじめまして、先日からここでお世話になっています、木芽と申します。こんな可愛いお嬢さんに会えるなんて思いもしていませんでした。」

最近聞き慣れてきたテノールの声
慌てて窓から視線を向けると、委員長の手を取り微笑んでいる木芽がいた

「毎朝毎朝わざわざ坊ちゃんのために声をかけに来てくださってありがとうございます。ああ、なんて健気でしょうか。貴女は心も美しいのですね。」

あいつは一体何をしているのか
竹箒を持っているので、おそらく暇を持て余し、キヨの真似をして庭を掃除していたのだろうけど

言われている方の委員長は当然戸惑っている
木芽は普通、口に出すのも恥ずかしいような台詞をつらつらと言い続けた
木芽の顔はそれなりのもので、ここから見ている限りはホストに見える

そういえば一応外国育ちだったと思い出したのは、散々口説かれた委員長が真っ赤に顔を染めながら逃げ去った後だった

約束事の一つに、女の子を口説かないと付け足すことにしたのは言うまでもない