ため息を一つつき、立ち上がった
ふと廊下を見るとキヨがこちらを見ていた
本気で驚いた
「…いつからいた?」
「坊ちゃんが電話と睨めっこしている時からです。」
聞き慣れた無機質な声にそう返され、最初からじゃないかとどうしようもない感情が湧いてきた
「明日学校に行かれるのなら制服にアイロンをかけておきますね。それからこれをどうぞ。」
そう言ってキヨが差し出したのは、何冊かのノートと包装が施された箱だった
何か買い物を頼んだ記憶はない
「ノートはキヨからの餞別です。こちらは木芽さんから貴方へと頼まれていた品です。」
驚いた
僕が学校に行く事がキヨにお見通しだったこともだが、木芽から?
僕はそれらを受け取り、包装を解いてみた
中からそっと現れたのは小さなデジカメ
「木芽さんがご自分のお金をキヨに渡したのです。それから伝言で、沢山作るのであろう思い出をこれで形に残してね、だそうです。」
紐が付いており、首にかけられるようになっている
僕はそれを首にかけながら淡々と話すキヨの声を聞いていた
花火のときに漏らしたのを覚えていたのだろう
本当に木芽には適わない
キヨは何も言わず、その場を去った
本当にいい家政婦だ
おかげで僕は、自分の瞳から流される雫を見られずに済んだ
木芽、僕ね、頑張るよ
僕はそう大切な友達に誓った


