そっと消えていった、城の住人
初めての僕の城の住人
僕が一回も愛すことはなかった住人

隠し事をしていました
誰かからの、永久の愛を望みました
向けられていたのが愛であったと知っていました
与えられたのは永遠だけ

誰かとの繋がりは、継続するのが大変だ
笑って縋って、時にはみっともないこともしなくてはいけない
だから強がっていた
誰かを必要とする自分が許せなくて、それなのにその期間はあまりに幸福な時間で

恐れていた感情が込み上げた
一人は寂しい
怖い
悲しい
寒い
知らなかった頃には戻れない

木芽は僕が心の奥底で望んでいたものをくれていたのに
僕から扉を開いていたならきっと何か違っていたのに
僕は開かなかった
扉を開いて、少しでも笑顔を作って、木芽が差し出す手を握っていたなら、もっと木芽の最後を幸せに出来たのかもしれない

愛せば、よかったな

「う、あ、うあああぁぁぁ!!」

初めて人のために吼えました