扉を開けて


「そもそも、坊ちゃんって呼んでいたのは何故だよ?」

「キヨさんがそう言っていたからだよ。」

やっぱりそうか

「まあ、呼び名なんてなんでもいい。」

そう言うと僕は居間へと入った

反芻していた言葉を飲み込み、心の中で弾けるような感覚にくすぐったくなる
思わず緩みそうになる頬を押さえ、いつものような表情を浮かべる

どうやら僕はこの夏休みという名の一ヶ月の間に随分と変化したようだった、否、油断していたのだ
一度知ってしまえば知らなかった頃には戻れないと、そう分かっていたはずなのに