扉を開けて

木芽が風呂から上がった後、僕も入った
そして上がると、すでに蝋燭とライター、花火を用意して目を輝かせている木芽がいた

二人で花火に火をつけ、舞い散る彩られた火花を見つめている

「俺、花火初めてやったよ。」

僕は初めてじゃない
ただ、久しぶりではあったけれど

「花火ってここでやりたいことの一つだったんだ。」

木芽はそう言いながら、花火を見つめる目を細めた

花火は本当に綺麗だった
そのためか思わず口から言葉が漏れた

「…写真に撮れればいいのに。」

「え、坊ちゃん写真撮るのが好きなの?」

すぐに言葉が返ってきて驚いたが、平静を装った

「そういう訳じゃない。カメラ持ってないし。ただ、なんとなく」

ふーんと返ってきた声に何故か恥ずかしさを感じ、お返しとばかりに僕は前々から思っていたことを口にしてみた

「お前元気そうなのに、なんで学校行かないの?」

学校には行っていないと母親は言っていたが、木芽が調子いいときは行けばいいのにと思ったのだ
木芽は僕と違い、人にも好かれる性格だろうに

すると木芽は呆気に取られたような表情を返してきた
しかしすぐに笑い出した

「俺、学校に行く必要ないよ。だって、もう大学出ているし。」

今度は僕が呆気に取られる番だった。

「外国に住んでいたから頑張って飛び級して、去年卒業している。だから、行く必要ないよ。」

時折忘れてしまうが、こいつは外国育ちだ
そういう可能性が思いつかなかったわけでもないのに、木芽の性格から無意識に考えないでいたのだ。