彼×××彼女




「 もし帰る途中ふってきたら困るだろ?濡れたら風邪ひくからさ、持っていけよ」


私の側へ駆け寄りながら、黒川が差し出したのはビニール傘。


家まではバスに乗って帰るし
そこからは走れば問題ない距離だけど…



折角の黒川の厚意を無駄にしたくないと思って、素直に受け取ることにした。



バスの中で揺らされながら、ただのビニール傘が何故こんなに可愛いらしく見えるのか。



ただ、ただ不思議でたまらなかった。