彼×××彼女




落ち着かない私は、ぐるりと室内を見渡し、本棚へ視線を落ち着かせた。



本棚にはいろいろ文学書物が並べてあって、そのなかから馴染みのある本へ更に視線を寄せる。



「これ…」


「ん?何」


立ち上がって手を伸ばし、その一冊を取り出した。


黒川は不思議そうに、私の顔をうかがっている。