「あがってあがって!何もないけど」 「あ、うん。お邪魔しまーす」 「適当に座って」 適当にどこに座ればいいのか、分からない。 それくらい黒川の部屋は散らかっていた。 狭いワンルームに、ベッドと本棚、机がどっしり構えていて僅かなスペースも何かの用紙が散らばっていたからだ。 「あー!原稿用紙ちらばってるけど気にしないで」