「二人には、北校舎と南校舎の花壇を頼むな!ホースでシャーっとやるだけだし、簡単だろ?」


何でこの人は朝っぱらから、こんなに元気なんだろってくらい満遍な笑顔を、
私と黒川の交互へ向ける。


「はーい」


やる気なさげな黒川の声にかぶさるよう、私も小さく返事した。


「先生、部活あるから行くな!二人仲良く協力してやってくれ!」


「え?先生はいないんですか?」


「ああ!悪いな!じゃ!!」


いそいそと去って行く先生の背中を呆然と見つめる。


救世主の滞在時間はわずか1分たらずだ。