「勝負は3打席。俺が3打席3安打でお前の勝ち。それでいいな??」

先輩がバットを軽く振る

「いいや。あんたが1安打で、あんたの勝ちでいい。」

幅野がニヤリと笑った。


他の部員がざわつく。


「天野、キャッチャーに入ってくれ。」

「はい。わかりました。工藤先輩」

2年生だろうか・・・。背の低い子がマスクをかぶって座る。

「練習は3球でいい。」

スッ
パシッ

白球が目の前を行ったり来たりする。


「あいつさ、あ・・・あのバッターの奴、工藤卓也っていうんだ。」

急に誰かが話しかけてきた


「えっ。あ・・・はい」

スッ

「あいつのバッティングすごいんだぜ。
 ただチームメイトがあまり強くなくて、
 上の方の大会には行けてないけどな・・・。」

パシッ

「そうなんですか・・・。ちなみに・・・??」

「あ、俺か??俺は若鷹中の明野だ。じゃまたの機会に」


スッ
パシッ

「もういいぜ。座れ」

幅野が地面を蹴る

あいつの球すげーのかな・・・。