「顔、真っ赤ですよ。」


「違います!」


反論はしたものの、私の顔は真っ赤だ。


少し恥ずかしかった。


「ところで、アンヌさんは好きな方はいらっしゃるんですか?」


顔の熱をさまそうとアイスティーを飲んでいた私は予想外の質問にむせてしまった。


「大丈夫ですか!?」


「ゴホッ だい…じょうぶです ゴホッ むせただけなので」


私がひとしきり落ち着いたところでルイ王子が真剣な顔に戻った。


「今まで、アンヌさんの意見も聞かずに結婚の話を進めてきました。でも、あなたは綺麗で素敵な女性です。思い人がいても、恋人がいてもおかしくない。」


いつもは赤面するところだが、私は顔に影をおとした。


好きな人…


そういわれて私の頭によぎったのはレオの顔だった。


こんなによくしてくれる素敵な王子様を差し置いて、たかが二回あった奴にほれるなんて…


でも、


私は喧嘩のことを思い出した。


「…いません。」


「本当ですか?」


「はい」


私は笑顔で返した。


王子の顔も明るくなる。