シンデレラと魔法使い

曲も終盤に近付いた頃――


「あの…」


今まで、黙っていた王子が口を開いた。


「あなたのお名前を教えていただけますか?」


「えっ?」


そういえば、名前を言っていなかった。
だが、一国の王子が一般庶民の名前なんか聞いてメリットがあるのだろうか。


疑問に思った私は、聞いてみた。


すると王子は少し困ったような顔をしながら言った。


「私だって、一国の王子である前に一人の男です。気になる女性の名前ぐらい覚えておきたいでしょう?」


「え?それはどういう…」


意味ですか、と聞こうとしたが同時に曲が終わってしまった。


私たちがお互いにお辞儀をすると、まわりから拍手がおこった。


「え?」


よくみるとみんな踊っていなかったようだ。


「なんで?」


「皆、私たちのダンスに見入っていたのでしょう。」


不思議そうにしている私に気づいたのか王子は笑って答えた。


「はあ。」


「それで、あなたのお名前は?」


王子の問いで、まだ名前を名乗ってなかった気がついた。


「私は…」


名前を名乗ろうとしたそのとき――