「当然でしょ」といった表情を浮かべる有菜を見て、俺は軽く苦笑いになる。
やっぱ本当、なのか?
でも、この世に桜の精、なんて本当に存在するわけなんてないし…
「じゃあ…俺、帰るな。
………また明日」
そう言った俺を見て、有菜は嬉しそうに笑顔になって言った。
「うん♪また明日!!待ってるからね!!」
そんな有菜の行動に、自然と笑みが浮かぶ。
俺は、有菜に背を向けて歩き出した。
そして何となく、後ろを振り返った時――…
「……有菜?」
有菜の姿は、もうなかった。
ドコ行ったんだろう?
俺は不思議に思いながらも、そのまま家へと向かった。
家に帰っても俺は、有菜の事がどうしても頭から離れなかった。

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