「…ねえ、君はここで何してるの?」
とりあえず俺は、有菜と名乗る女の子に話しかけた。
その子は俺を見ると、もう一度笑って言った。
「あたし?
あたしはこの桜の木の精なの」
…は?ちょっと待てよ?
て、事は―――…
「君は…人間じゃない、って事…?」
「だから、あたしは桜の精よ」
「…はあ」
この子…有菜、って言ったよな。
何言ってんだろう。
だって足あるし、普通に俺と話してるし…
それに見た目なんて、人間と全く同じだ。
なのにこの子は…桜の精?
「ねえ、あなたはここに何しに来たの?」
今度は、向こうから話しかけられる。
「え、ああ…
俺はこの倉庫の掃除を―――…
ってああ゛―――――っ!!!」

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