「あたしはっ…」
「―――…好きなんだ…」
「え…?」
小さな声で、俺はそっとささやいた。
驚いた表情で、有菜は俺を見上げた。
涙に濡れた頬を服の袖で拭い、もう一度言った。
「俺は…――有菜が好きなんだ…」
俺はそっと、有菜から手をを離した。
「仁…くん…」
「初めて会った時から、有菜に惹かれてた…
幽霊とか、もうそんなのどうでもいいよ…
…ドコにも行くな。
ずっと側にいろよ…有菜…」
有菜はうなずいて、俺に抱きついた。
「……あたしも好き…大好き…っ」
俺はそっと、有菜にキスをした。
初めて触れた有菜の唇は…すごく冷たかった。
「ありがとう…仁くん…」
有菜は最後に、最高の笑顔を見せてくれた。
次の瞬間、俺の意識はそこで途絶えた。

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