有菜は笑った。
その笑顔は、今まで見たどんな笑顔よりもキレイだった。
「バイバイ……仁くん」
そのまま有菜は、俺に背を向け歩き出した。
このままで、いい?
有菜とは、もう二度と会えないかもしれない…
「――…有菜っ…!!!」
俺は、驚いて振り向いた有菜の腕を引き…そのまま自分の元に抱き寄せた。
「…離して」
俺の腕の中で、有菜は小さく呟いた。
「――…離してよっ…!!」
「離さない」
――…絶対離さない。
抱きしめる腕に、更にギュッと力を込めた。
「…な、んで…
あたしはここにいちゃいけないのっ…!!もう離してよっ…」
「…どこにも行くな…!…ずっとここにいろよ…」

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