「わっ…仁くん!?どうしたの?」
突然俺に抱きしめられて、有菜は驚いたようにおどおどしながら、口を開いた。
「――…いた…有菜」
「…うん、ここにいるよ?」
不思議そうに返事をする有菜を抱きしめたまま、俺は目を閉じて、さっきのニュースを思い出した。
【先月起こった殺人事件の…】
【被害者は、藤本有菜さん(16)】
「仁くん…?」
俺はさっきよりもギュッと、有菜を抱きしめる力を強めた。
そして、震える声で有菜に話しかけた。
「さっき変な物…見ちゃってさ…」
「変な物…?」
俺は息を大きく吸い込んだ。
「―――先月起こった殺人事件の被害者の写真が…有菜そっくりで…
ちょっとびっくりしちゃって…」

![[新連載]君への想い、僕らの距離。](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.781/img/book/genre1.png)