俺はテレビを見て、愕然とした。
だって画面には、間違いなく有菜が写っていたんだから。
長い黒髪。灰色の瞳。
―――間違いない。有菜だ。
「どういう…ことだ……?」
俺は夢中で学校へと走った。
暗いとか、恐いとか、もうそんなことどうでも良かった。
「―――…有菜っ!!!」
真っ暗な倉庫の前。
俺は大声で有菜の名前を呼んだ。
「おいっ…有菜!!有菜っ!!!」
「仁くん…どうしたの…?」
有菜はいつもと同じ笑顔で、でも少し驚いたような顔で、俺の前に現れた。
有菜の顔を見た途端、一瞬で体の力が抜けた気がした。
「有菜…いた…」
俺は息を整えながら、そのままギュッと有菜を抱きしめた。

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