あたしは、普通の高校3年生。
いや…正確に言うとその時まで、あたしは普通の高校生だった。
そう…その時まで。







「マジで加藤の授業理解できないんだけど」
「加藤先生は教科書無視だからね…予習しても意味無いし…」
「って彩夏予習してんの!?さすが…生徒会長」
「だってあたしは奨学生だし、勉強しないと」
あたしは南条高校生徒会長、そして奨学生。中学2年の時に両親を交通事故で無くして、母方の叔父に引き取られた。
叔父は独身であまり家にいなくて普段は家に1人でいることが多い。そんなあたしをおじいちゃんが寮のあるお金持ち高校に入れてくれた。
あたしはあまりおじいちゃんとか叔父さんに迷惑かけたくなかったし、奨学金でこの高校に入った。おじいちゃんと叔父さんは猛反対だったけど、これ以上負担をかけたくなかったし説得して奨学生になった。
「彩夏?聞いてる?」
「あ、うん。ごめんね、ぼーっとしてた。雛もちゃんと予習とかしないと」
「本当に真面目だねー…あ、テスト勉強、ノート写させて!!」
「良いよー。でも…加藤先生の授業だけノート取らないのはさすがに…」
今、話してるのは生徒会書記の若山雛。