「お姉ちゃん、お名前なんていうの?僕はヨウ。こいつはぽんた」
「ヨウ?ぽんた?」
「そうだよ。ヨウは葉っぱって意味があるんだ」
葉っぱ…思わずさっきまで登っていた木を見上げた。
「で、お姉ちゃんは?」
期待を込めて男の子…ヨウが繰り返す。
「わ、私は…える、だよ」
なぜかこの辺の住民は2文字の名前をつけることが多いのでそれに習った。
直前まで見ていた枝の『え』と近くを流れる川の音。
合わせて『枝流』。
「える?いい名前じゃん」
男の子はまたニコッと笑った。