それでも世界はまわる

しかし、どこをどう間違えたのか、その場所にはりおんの姿があった。

「あれ、美佳さん何しよるん。生徒会室まだ電気ついとったじゃん」


   *      *      *


すでに夕陽は沈もうとしていた。半分くらいは山に隠れている。
カラスの鳴き声を聞きながら、トンボの集まる河原に美佳とりおんはいた。

二人きりだが、周りから見れば慎吾とりおん。

美佳は普段ならこんな状況だと緊張して赤面してしまうくらいだが、今はあんなことがあった後で頭がいっぱいだった。
りおんは物静かなタイプだし、女の子と二人で話すなんてことは苦手なようだった。
お互い会話がない。