神宮姫伝









(とは言ったものの……)


「何処まで行ったのかなー…」


人混みを何とか掻き分け前へ進むが、中々見当たらない。


(……まさか、行き違いとか?)


とりあえず電話しよう。


今更ながらにその存在を思い出し、ポケットから取り出す


………が、画面は真っ黒で電源が入らない。


ハァ、と溜息を吐き仕方なく一旦人混みから抜け出す。


戻るにも人がうじゃうじゃといて戻れないことに気付き、また溜息を吐く。


(仕方ない…っ)


探し出す事を密かに決意し、行き先の見当をつけようと視線を動かす。


「………あれ?」


見慣れた顔を見付けじっ、と目を凝らす。


「居た、」


探していた本人、昴を見付けその方向へと足を進めた。


「すば………、」


呼び掛けた声は途中で止まり、上げかけた手も下げる。


その間にも昴は違う道へと逸れていく――知らない女二人と。


俯きかけた顔を上げ、足早にその後ろを追いかける。


(……何あれ、何それ、何なのあいつ)


何時もなら昴は女を蹴散らす。
冷たい目で追い払うのに………


なんで、どっかに三人で行こうとしたの?