神宮姫伝






「………おい、まだ拗ねてんのか?」


後ろを着いてくる昴の何度目か分からない問い掛けに、あたしは無言で足を速める。


大体、あたしは拗ねてるんじゃなくて“怒ってる”のに。


そんな些細な事にも苛々は募り頬を膨らませる。



何であたしがこんなに怒っているのか……

それは遡る事、数時間前






――あたしと昴は、駅前で大きく開かれる夏祭りに来ていた。


「……ねえ、あれ食べたい」

「あっ、あれも食べたい」

「あっちにも何かある、」


久しぶりの祭りで気分が上がり、屋台を見付けてはあちこち指差しては行きたいと言うあたしに昴は優しく ああ、と言い微笑んでいた。


けど


「………気持ち悪い」


普段から余り食べないあたしは、いきなり食べ過ぎて気持ち悪くなっていた。


そんなあたしを見て一笑すれば優しく微笑み人混みから少し離れた場所まで連れていき休ませてくれた。



(………優しいなあ、)


昴の優しさを改めて実感し心の中でぽつりと呟く。


(まあ、……そんなとこが好きなんだけど)


ベタ惚れだなあ、と我ながら思い口元から笑みが溢れる。