(…うわぁ)


女の子が華奢な肩を震わせているのに気付いてしまった。


いつもならせせら笑って置いていくが、その時の俺はどうかしていたらしい。


気付けばその女の子に声を掛けていた。


ただの気まぐれ。


そして、案の定俺を振り返った女の子の瞳は濡れていて。




「とても嬉しかったんです。心細くて、どうしたらいいのか分からなくて…そしたら彗さんが助けてくれました」




はにかむように笑う女の子に、とくん…と心臓が高鳴った。




「そのまま彗さんは教室まで送ってくれて、彗さんも遅刻させてしまって。なのに彗さんは気にした風もなく、“もう迷うなよ”って笑ってくれました」




そこで女の子は一旦言葉を切り、おもむろに俺の体に飛び付いてきた。