【短編】双子の憂鬱





「アタシ、最初からあなたが彗さんだと知ってました」


「えっ…何で」




知ってたって?


目を丸くする俺に、女の子は悪戯っぽい笑みを浮かべ、口を開いた。




「本当に好きな人なら、ちょっとの違いでもわかりますよ」




本当に、好き…




「でも…」


「アタシは彗さんが好きです。初めて出会った時からずっと」


「出会った?」


「あ、やっぱり覚えてなかったんですか」




ひどいなぁとつぶやきながら、女の子は俺から手を離した。


ずっと腰を曲げてたから、いきなり元に戻すとかなり痛い。


思わず顔をしかめる。




「今年の四月の話です」




そんな俺をおいて、女の子は話し始めた。