【短編】双子の憂鬱





「嫌です」




―――え、即答?


しかも“嫌”って言った?


思ったよりも頑なな声に俺は少し驚く。




「ッ、いやでも…」


「絶対に嫌です」




絶対に、って…


何でだよ…っ!


確かに俺たちが悪かったけど、そんなに…


グッと唇を噛み締めた時、そっと頬に温かい手が当てられた。


体が強張る。


そんな俺の体を解すかのように、優しい声が降ってきた。




「だってアタシ。蓮さんが好きなんじゃないですから」


「……は?」




蓮が好きじゃない…?


どうゆう…?


戸惑う俺に、女の子は笑った。




「アタシが好きなのは、あなたです、彗さん」




もう、声すら出なかった。


勢いよく顔を上げれば、優しく微笑んでる女の子が俺を見つめていた。