【長編】雨とチョコレート




「なぁ、しの…?」


たべものもスープも喉を通らない。




「あのさぁ」




目を合わせられない。




「し」








名前は続かない。





「結局れいくんと2人で遊んじゃったなぁ」





顔をあげる。





「早く食べて出ようよ。私、いつもの公園行きたいな」


「あ…あぁ、わかった。いいよ、行こう」




しのは、にこっと笑った。
そして、急いでくちに詰めたのか、口の周りにご飯粒がついている。



しょうもない。



「しの」


名前を呼んだ。

「ん~?」

顔を上げる。

「米」

そういって人差し指で米をとる。


ほれ、って差し出すとしのはバッグからティッシュをとりだし、さっと拭き取った。


「ああ~恥ずかしいなぁ」


ほんとに恥ずかしがってんのか。




途中まで、ほんと、なんていうか、端から見たら恋人~って感じだったのに。


あぁ~ほんと、もう。