【長編】雨とチョコレート


「しの、昼なんだけど…」


え、もう?


握っていた俺の手をひきよせて、じゃあのへんでいいよお昼なんてなんでもいい。

そういって、軽食がとれそうな食堂…じゃないけど喫茶店みたいな建物にはいった。


はいってから二人とも適当に頼んで、それから思い出したみたいにしのは携帯をひらいた。

「あ、あきちゃんたちもう来てたみたい」


そうなの?


「携帯、マナーにしてたから鳴ったの気づかなかった~着歴やばいよ」



ほら、

さしだされた水色の携帯の液晶画面いっぱいにあきちゃんの文字。


まさか、と思って俺も自分のをみる。



神崎の名前が1件だけ。



なんだこの大差は。



俺が携帯をひらいたのに気づいたしのは、神崎くんからいっぱいきてたでしょ?なんていう。



きてねぇよ