雨は、ワイパーが追いつけないほど強くなっていた。 「なんで殴ったんだ?」 奥寺が運転しながら左手を俺の頭に乗せた。 「覚えてない」 「・・・そっか」 「でも、てらがいっつも言ってることは浮かんだよ。『やられたら、』」 「・・・『やりかえせ』、か・・・」 対向車線を走る車のライトが寺の顔を照らす。 寺の顔がこわばった。