【長編】雨とチョコレート



「にしても、なんであんなに入院してたんだ?」


不意に質問をされる。
それに俺は上手く答えられなかった。

検査ばっかりでしてたような気がするからだ。
ぼやけた答え方をしたが、神崎はさして興味もなさそうに、ふーんと言っただけだった。


「とりあえず、週2で病院」


多くないか、と返されるが、俺にはどうしようもない。
来いと言われたから行くだけだし。


「ま、無理はすんなよ」


くだらない話をしながらもさりげなく俺に気を遣ってくれる親友。

その存在が、なんでか急にありがたく感じた。


下駄箱で靴を脱ぎながら、なんとなく、心の中でお礼を言っていた。
(本人に言うには、あまりにも恥ずかしすぎた)