【長編】雨とチョコレート


「奥寺さん、れい君の成績知らないんですか?」

「教えてくれるわけじゃないのでね・・」


寺が声色が変わる。
寂しそうに、しょぼんとした声。

・・・自分の成績のこと、俺もよく分かっていない。

とりあえず授業でやったこと、覚えたことをテストで答えるだけで、留年しないようにだけ気をつけていた。

だから自分の順位なんて興味ない。

(正解の数は少し気になるけど)

留年さえしてなければいいんだから。


順位なんて、職員室前に貼りだされていても、見るのはしののくらいだ。
(神崎と岬のはどうせワン・ツーフィニッシュだろうからどうでもいい)


それにしても、2人が部屋の前で話しているのがもどかしい。

ベッドから出なければ2人の様子が分からないなんて。


あまりのもどかしさにそわそわしていると、まさかの事実を聞いてしまった。


「・・・・れい君、この間のテストも1位だったんですよ」

「え!? ほ、んとう、ですか!!?」


寺の声が、震えてる。