【長編】雨とチョコレート



ピピーッ!
勢いのよいホイッスルの音が熱気の渦巻く体育館にこだまする。


「れい君!!!」

「真山!」


試合中、意識がぶっ飛んだ。
名前を呼んでくれる声が、どんどん遠くなる。

体育館の天井が、目の前に広がった。


人が顔をのぞき込んでるのはわかったけど、霞んだ瞳じゃ誰かも判別できない。