【長編】雨とチョコレート


「とおのさんはどおしたんですか」


後ろから椅子の背をコンコンとしつこく叩かれる。

振り向くと、いかにも不機嫌そうな岬がいた。


「なんにもない。俺、しの一筋だから」


「あのさ、決意固めたとこ悪いんだけどさ」



岬が肩肘ついてだるそうに言う。


「真山君はさ、あたしよりも長くしのと一緒にいんだからさ、もっとあの子のこと分かってあげてよ?」


性格も性質も、全部含めてさ。



岬はそれだけ言うと、携帯をカチカチといじり始めた。