【長編】雨とチョコレート




「…なんだよ」


岬だ。
俺たちにしか分からないような小さく、低い声でしゃべる。


「なにあれ」

「なにが」

「遠野さん」

「バスケすんの。球技大会の練習」


俺の答えに納得いかなそうな顔しつつも、掴んでいたワイシャツを離す。


「しのは?」


なぜか、一瞬心臓がはねた。


「最近ひとりで帰りたいみたいだから」


俺の声は上擦ってなかっただろうか。