【長編】雨とチョコレート



「あめーよ!!」


シュートに持ってったボールをバシッとはじかれる。

俺はあっと言う間に息があがってるのに(体力ないからなんだけど)、神崎は容赦ない。


転がったボールを、クラスメートが拾った。


「手加減、しろよ…」


額から、顔から、体から噴き出す汗をTシャツで拭う。


「集中しろよ」


口調が、きつい。

コートを見回すと、いつの間にか人がポロポロ集まってきてる。


「よそ見すんなよ、真山」


いつもよりも数段低い声で言われた。


ボールを拾ったクラスメートに手をちょいちょいと揺らしてボールを投げるように促す。



「1本入れたら、終わりにすんべ」



神崎がにこやかになる。