【長編】雨とチョコレート



「れいくんが、私のこと好きって言ってくれて、嬉しかった」


ソファに座って、指を開いたり閉じたりするしの。


「私も好きだった」


相づちを打ち続ける俺。

「でも、漫画とかドラマとかでつき合っちゃうような『好き』って、私まだなの。そういう感覚わからない」


恋を知らないの。


と、俯く。

俺はその場に座り込む。
そして、また、相づち。


「れいくんが、いるから、彼氏とか欲しいって、思ってなかった」


うん?


「しの…」


勢いよく、振り返る。