「莉緒?口、ずーっと開けっぱなしだけど。」 「あ?」 「あ?って。なんか遠く彼方を見てたよずっと。」 そう言って笑ったのは目の前の席の律。 後ろ向きに椅子に座って完全にあたしに体を向けている。 「なんか考え事?」 肘をついて手で頭を支えていた私はそれを止めて身を乗り出すように律の顔を見た。 「あのねっ!…あたし…悩んでる。」 この時は気づかなかった意味のわからない言葉を発した私を見て律はそうなの?ってまた笑った。