頬に置かれたすべすべの手を握って見上げると不思議な顔で俺の顔を見る。 いつぶりだろう… こうやって母さんの手を握ったのは。 ガキの頃包まれるように握られた手はすっげぇ小さくて。 「約束…覚えてる?」 「約束?…私何か麗と約束したっけ?」 記憶を探るその顔は晴れることはなかった。 「なんでもねぇよ。恵利も体に気をつけてな。泣きたくなったらいつでも電話して。」 息子が母親に言う言葉じゃねぇよな。 だけど 理由は何だっていぃ。 母さんに会えるなら。 俺じゃない誰のためでも構わない。