目を逸らして、この場から去りたいのに。



なのに体が言うことをきかない。



その時唇を離したヤツが私を見た。



だけど驚きもしない。



「麗?」


甘い声を出すその女の子は麗の顔を覗き込んで麗の目の先にいる私を見た。



「気はすんだ?それじゃさよなら。」



今まで見た事ないほど冷たい目をしてそう言った麗。



「ちょっと麗!!」


呼び止める女の子に目もくれず、私に近づいて来た。



「1人?」


ただヤツをじっと見ることしかできない私を見下ろして微笑む。



頷くと


「女の子がこんな時間に1人で出歩いちゃダメでしょ。戻ろ?」


そう言って腕を引いてスタスタと歩いて行く麗の背中を見つめていた。