あたしは泣いたまま綾くんの腕が腰に回されたまま廊下を歩く。


廊下にいた生徒達からの視線と声は痛い。
突き刺さるほどに痛い。



そんな痛さの中連れてこられたのは空き教室。
ドアを優しく閉めた綾くんはガチャリと鍵をかけた。



「晴、」



綾くんに名前を呼ばれてキュンときたあたしの目からは余計涙が溢れて、どうしようもなくなってきた。



「晴、座ろう」



壁に寄りかかるように床に座る。

綾くんの腕が腰から外れてあたしを抱きしめる。


「晴、なんで泣いてんの?」


「・・・・」



あたしは言えなかった。嬉し涙だ、なんて。

不安が無くなったなんて。
言えるわけないじゃんか。




「みんなに言わないほうが良かったか?」



あたしは答える代わりにブンブンと首を横にこれでもか!ってくらい振る。




「晴、今までごめんな?」


「う、う・・」


「俺、無口だし・・女と付き合うとかわかんねーし、でも、俺、晴の事好きだから」


「うぅ・・りょ、りょうくんー!」