小柳は茶屋に着いた。
というか既に茶屋の前に立っていた。

「地図、いらないんじゃね?」

「…」

「シカトすんなよ仏!!!」

「あら、いらっしゃい。お客さんお一人?」

小柳が仏の螺髪をむしりとっていると、茶屋の中から女が出てきた。

「3に…ごふッ!!!」
「1人です」

「でも…仏様と桃太郎さんが…」

「違います。背後霊とボンレスハムです。僕はハムは嫌いなので貴女に差し上げます」

苦笑いを浮かべる彼女に、小柳はハゲダルマもといボンレスハムを差し出した。

「…ごめんなさい。わたしもハムは嫌いなのでそこの池に捨ててくださいませんか?」

彼女の一言でボンレスハムは四回目の水中遊泳に旅立った。

「さあさ、立ち話もなんですから中へどうぞ。お茶をお出ししますね」