『さ、沙恵?』

「沙恵ちゃん…」

「おばさん、ごめんなさい。
私、本気なの。

佑夜のこと、ううん、

佑夜さんのこと、ちゃんと…
愛してました。

もしかしたら、今でも…
だとしてもいつか、

諦めなきゃいけない気持ちだから…

私、そのいつかっていうのは

今だと思うの。
この人に会ってそう思ったの。」

「ママ。
もういいんじゃない?

沙恵さんのこと自由にしてあげても。」


階段を降りて、
玄関に来た佑美さんが言う。

佑美さんは、
いつも私の相談に乗ってくれる
佑夜さんの妹。

「佑美…。」

「沙恵さん、戻りたい時はいつでも戻っていいんだから。
ありがとね。
兄の事、大事に想ってくれてて。

でも、もう…いいよ?
兄も絶対そう思ってる。

留亜さん、だっけ…?」

留亜を見て佑美さんが言う。

『はいっ!』

留亜が答えた。