『沙恵~、起きてえ!』

…ん?

「今、何時…?」

『夜の9時半…。』

「えっ!?」

私の今の状況は、
佑夜と留亜のことについて

散々悩んだ挙句、
何も解決せずにただ

泣きつかれて寝ただけらしかった。


「じゃあ、私お昼からずっと寝てたの?」

こくんと留亜が頷く。

「晩御飯は?」

『作ったからあるよ?

で、起こした理由なんだけど…

これ…。』


「佑夜のご両親から荷物じゃない。」

…なんだろう。

「あ…お骨…。」

『おこつ?』

「佑夜の骨よ。」

『そっか…』

「な~に不安そうな顔してんのよ!
明日、ご両親に返して来る。

ここには置いといたらダメなんだよ、たぶん。

留亜もいるし。」


『ど、どゆこと?

俺いたらなんかまずいの?』

「私が会社行ってる間に開けちゃいそうだもん。」

『…。』

「えっ、何!?

じょ、冗談だったんだけどっ?!

まさかの図星?!」

『げっ…違う違う!』

「ひくわ、これ完璧。」

『ごめ…ーー』

「ーーじゃ~あ、着いて来て?」

『へっ?』

留亜が素っ頓狂な声をだした。

「明日、佑夜ん家。」

『…いいの?』

「うん、正直その方が縁切れやすいし。」

『そんなことしたら、軽い女だって思われちゃうよ。

しかも、好きでもない男と好きだった男の家に行くなんて。』

「いいの。じゃないと、お骨返しにくいもの。」

『いいの?』

「うん。」

『お骨返して後悔しない?』

「佑夜のことは…どうしたらいいか分かんないの。」

『…そぅか…だよね、俺がどうこういう問題じゃないもんね。』

「…ねえ?明日、着いて来てくれるの?」

『全然いいよ!』


「…一日限定彼氏ね。」

『え、いいのっ!?

一日でも半日でも嬉しい、そのポジション!』

「ふふっ。ばーか。

あー、お腹すいた!
晩御飯なあに?」

『チャーハン!俺頑張ったんだから!』

「はいはい。ありがと。」


そうして、明日、留亜が一日限定彼氏となることになった。