今日は土曜日。
留亜が来てから一ヶ月。

『沙恵っ!
ちょ、何すんのっ!
もうやめて無理むり。
降参です。すみませんでした。

…あ、あっ~!負けた…』

「ふっふーん♪
いつになったら私を抜かせるのかしら~?」

只今、マリカ中。
どっちが皿洗いをするか決めています。

ま、見ての通り、留亜がすることになりました。

私、ゲーム得意なんです。

「留亜、よろしく。」

『…。』

そして、彼は拗ね始めた。

「約束でしょ。」

頬を膨らまし始めた。

『…はい。やりますよーだ。
いっつも俺ばっか負けんだもん。』

私は、負ける勝負なんてしない。


「じゃーあ、よろしくね!」

私と留亜の距離はいつの間にか縮まっている気がした。


かちゃんかちゃん。

「もー、留亜、ちゃんと洗ってるのー?」

なーんちゃって。
留亜は本当に良くやってくれている。

『な、文句あるなら沙恵がやってよ!』

「ごめんごめん。」

『なんか沙恵、今日、すっごい絡んで来る~。何かあったの~?
留亜ちゃんが相談乗っちゃうよ?』

「そんなことないよ。それに、馬鹿に相談したら余計狂っちゃうでしょ~?」

そんなこと、本音じゃない。
本当はありがとうって思ってる。

でも、素直になれない。

『沙恵は俺のこと嫌いなんだよね。
俺、おちこぼれロボットだからさ、
あんまり優しく
されたりとか…するとさ、

勘違いしちゃうんだ。
気があるんじゃないかって…
ごめん、住まわせてもらってんのに。』

「…いいよ、私こそ、最近ごめん。」

留亜のこと、意識してる自分が何処かにいる。
それは…好き、ってこと…?

『い、いや、俺、悪いんだけどさ!沙恵が可愛すぎるんだよ~。全く、沙恵は本当…』

留亜がいきなり黙った。

「え、何どうしたの。」


『…ごめん、沙恵のお気に入りのカップ割っちゃった…』

「きゃあっー!
ルークの限定カップじゃんっ!

ばかあああ。」

…やっぱり、好きになれそうにない。