「でも何で、お前ここにいるんだ?バイトは?」
「もう閉店しました。北城さんが休んだせいで大変だったんですから!店のケーキ完売ですよ」
「…へぇ、混んだんだ。そりゃ大変だったな」
声がガラガラで鼻をすすってる北城さんを見て思いだした。
「大丈夫ですか?」
「ん~なんとかね」
せっかく北城さんに会えたけど、本当に辛そうな北城さんを見て胸がズキッてした。
「これっ、大学のレポートです」
「あ~届けに来てくれたんだ。ありがとう」
こんな寒い外にいたら、
風邪が悪化しちゃうよね
「それじゃ私帰りますね。お大事にして下さい」
「待て待て」
そう言って、
北城さんは私の腕をひっぱた。
「送ってぐ」
「いや、悪いですよ。北城さんの風邪悪化しちゃいます」
「そう思うんなら言うこと聞け」
「…はい」
なんて幸せなんだろ―と
しみじみ思いながら、
「あれ?どこに向かってるんですか?私の家はあっちですよ」
「家に上着取りに行く。バイクで送ってぐから、お前もそれじゃ寒いだろ」
あぁ~
そう言うことかぁ
って、バイクですか!?