「…ねぇ柴咲くん」
「ん?」
「私のこと恨んでる?」
「は?なんで?」
「さっきから北条さんに余計なことばっか言ってたじゃん…」
注文したティラミスを一生懸命食べてる柴咲くんを見て、
そういえばお昼食べてないんだっけ。もったいないことしたなぁ…なんて思い出したり
「そう見えた?気のせいだよ」
「嘘だよ!絶対なんかある!」
北条さんをチラッと横目で見てみると、何やら難しい表情をしてレジチェックをしていた。
「…そんな見てて飽きない?イケメンは3日で飽きるって言うけど」
そんなことを言ってる柴咲くんだって、十分にイケメンだと思うよ?
…まぁ、北条さんには叶わないけどね
「…そろそろ帰らない?お店も閉店時間近いし」
「もうそんな時間?じゃあ帰ろっか。家まで送るよ」
「大丈夫だよ。家近いし」
「んなこと関係ないから。送らして?」
「…うん」
お会計を済まそうとレジに近付くと、さっきまでレジチェックに夢中だった北条さんが顔を上げた。
「帰んの?」
「はい」
「気をつけて帰れよ」
店を出る前に北条さんと話した会話はこれだけだった。
正直寂しいけど…
明日もバイトで会えるもんね
…その後は柴咲くんに家に送ってもらって
「今日は本当にありがとう」
「ううん。また明日、学校でね」
こうして私の高校2年での初めての遠足は幕を閉じたのでした。