「…癲癇(てんかん)?」
「あぁ」
…癲癇、テレビとかで聞いたことある。 痙攣・意識障害などの発作を繰り返す脳疾患だって…
「…いつから?」
「母さんが亡くなって、1年後くらいかな…仕事場で症状が現れて」
柴咲くんが言ってた
お父さんは昔、運送会社で働いてたって
「…クビになったの?」
「あぁ。仕事途中で発作が出たら大変だろ?」
「なんで…何で俺に言ってくれなかった?」
「お前は心配性だから。母さんも病気で亡くしてるし…言わない方がいいと思って」
…やっぱり
子のことを考えない
親なんていないんだね
「仕事探しても、癲癇ってことがわかったら雇ってもらえなくて…」
「仕事探してたのか?」
「当たり前だろ。親なんだから」
「…じゃあ金は?俺の金使ってただろ?」
「薬代だ。尚人には悪いと思ったんだが、金がなくて…つい」
…そっか
お父さん、ギャンブルしてた訳でも、遊びに行ってた訳でもなかったんだ…
その後、
柴咲くんのお父さんは柴咲くんと誤解を解き合って
これからも一緒に頑張ってくって決めたみたい
結局私は、なんも出来なかったけど…
ふたりが仲良さ気に会話してるのみてたらどうでもよくなった。
「…帰ろーっと」