柴咲くんとは意外に話が盛り上がって、(やっぱホスト)柴咲くんの家に来る前の重い空気はいつの間にか無くなっていた。
「…あっ、来たかも」
「えっ!あっ、どうしよう!」
大口叩いてここまで来たものの、いざというと緊張して何を話していいのか分からなくなる。
ガチャ
そんな私の心配なんか関係なく、その時はやってきた。
「こんにちは!しっ柴咲くんの友達の杉浦夏海です!きょっきょ今日はお父さんにお話しがあって伺いました!」
(杉浦さん噛みすぎ…)
柴咲くんが横で小さい声でそう言った
けど、今の私の耳にはまともに入って来なかった
「…尚人の友達?」
柴咲くんのお父さんは思った通りに優しそうな人だった。
…この人が?
全然そんな風には見えないよ
「…あのっ、柴咲くんが何の仕事をして働いてるか知ってますか?」
柴咲くんのお父さんは俯いて
「…んなこと知らない」
と言って床にドンっと腰を下ろした。
そんなお父さんの前に私も腰を下ろした。
「夜の仕事をしてお金を稼いでるんです!お父さんはそれでいんですか?学校とかに見つかったら大変なことになるんですよ?」
「…何して金を稼ごうが、金は金だ。それに…私の家の話だ!あんたには関係ないだろ」
「関係なくなんかないです!柴咲くんの友達ですから!」
(…杉浦さん)
「友達?友達に家庭内の事情に入ってくる権利あるのか!?」
「そっ…それは」
柴咲くんのお父さんは顔を真っ赤にして私に怒鳴った。

