「…私、ぜんぜん気づかなかった。親友なのに」



「杉浦さんって鈍感だからしょうがないよ」




…ん?

今私、けなされたよね?




「…っで、一体どうするの?その、望月くんが告白出来るようになるには」



「そんなの簡単。俺らがいなくなればいんだよ」




そう言って、柴咲くんは私の手を握った。



「え?」


「いいから。こっち」



柴咲くんは私の手を握りしめたまま、どんどん望月くんとちずちゃんがいる逆の方へと歩いて行く



柴咲くんに握られている手を見つめながら、私の頭には北条さんの顔が浮かんできた





…そういえば


北条さん、今だに手を握ってくれない



なんでいつも腕ばっかなんだろ


最近話すようになったばっかの柴咲くんだって、手を握ってくれるのに…



なんでたろう?



疑問は深まるばかりで、
考えれば考えるほど頭ん中がごちゃごちゃしてきて…





「…―杉浦さん?」


「…あっ、ごめん!」



いつの間にか繋がれていた手は元通りになっていて、



どうやら目的地に着いたようだった。





「ここは?」



柴咲くんに手を引かれてやって着たのは、町外れの喫茶店



建物の中に入ると木の良い匂いに鼻の中をくすぐられた。




「2名様でよろしいですか? 」

「はい」


「こちらの席へどうぞ」



店員さんに席を案内され、
店の一番奥の席に座った。



「あぁ~腹減った!なに食う?」


「…どうしょう」



木のテーブルに立てられたらメニューを手に取り開くと、意外にもメニュー豊富だった。