「いい人だな、北条さんって」
「…うん」
北条さんは、いい人過ぎるんだよ
「そういや、杉本…見たんだよな」
…あっ、昨日のことか
「うん」
「まぁ、見たまんま。金がどうしても必要でさ」
「でもっホストクラブで働いてるなんて学校にバレたら退学だよ?」
「そんときはそんとき。今は生きてぐ為に必死なわけ」
…生きてぐ為に必死?
柴咲くんは当たり前のように話してるけど、私なんかが立ち入っていい問題じゃないような…
「んな恐い顔すんなよ。俺は大丈夫だから。杉本はとりあえず、見たこと全部忘れて」
「そっそんな…」
「杉本には関係ないから」
そう言った柴咲くんの表情はとても悲しそうで、目が逸らせなくなった
「…柴咲くん」
「さっさっと食べて行くぞ。俺も店戻んねーと」
「…うん」
何も出来ない自分が情けない
何も言えない自分が悔しい
…こんなとき、
北条さんならどうするのかな?

